《ストーリー》
世界的ピアニスト・釘宮高槻(クギミヤ・タカツキ)の令嬢・日向子(ヒナコ)は、幼い頃に初恋の人と交わした約束を実現させるために、父の反対を押し切って出版社に就職。
音楽雑誌の記者となった日向子は、ある日、思いがけず大きな仕事を任されることになった。
その仕事とは、人気アマチュアバンド「heliodor(ヘリオドール)」の半年に亘る密着取材だった。
取材を通し、メンバーたちと交流を深める日向子は、やがて彼らの胸の内にある幾つもの秘密と、幾つもの傷を知り、心を揺らしていくのだった……。
《主な登場人物》
★釘宮日向子(クギミヤ・ヒナコ)
本作の主人公。24歳・女。
大手出版社「蓮芳社(レンホウシャ)」の音楽雑誌「RAPTUS(ラプタス)」の新米記者。
記者としてのペンネームは「森久保日向子(モリクボ・ヒナコ)」。
世界的ピアニスト・釘宮高槻(クギミヤ・タカツキ)の一人娘で、世間知らずで天然だが芯の強いお嬢様。
「わたくし」「○○様」「~ですわ」と、かなり特徴的な話し方をする。
将来の夢は初恋の人・高山獅貴(タカヤマ・シキ)のお嫁さんになること。
★紅朱(コウシュ)
本名は浅川錦(アサカワ・ニシキ)。25歳・男。
アマチュアバンド「heliodor(ヘリオドール)」のリーダーでボーカル担当。
父方の遺伝で生まれつき髪が赤い。
粗暴な面もあるが、責任感が強く男気のある兄貴肌。
鈍感で感情の機微(特に恋愛方面)に疎く、日向子のことはあまり異性として意識していない。
ある理由から高山獅貴(タカヤマ・シキ)をひどく嫌っている。
★玄鳥(クロト)
本名は浅川綾(アサカワ・アヤ)。24歳・男。
アマチュアバンド「heliodor」のギター担当。
紅朱の実の弟で、容姿は似ているが髪は赤くない。
生真面目な優等生タイプで、バンド一の努力家。
出会ってほどなくしてから日向子に想いを寄せるが、奥手なため全く伝わっていない。
兄との兄弟仲はいいのだが、ある種の複雑な感情も抱いている。
★万楼(マロウ)
本名は能登響平(ノト・キョウヘイ)。19歳・男。
アマチュアバンド「heliodor」のベース担当。
最年少でバンドに加入したのも一番遅い。
基本的には明るく人懐っこい屈託のない少年だが、不安定で繊細な一面を持っている。
甘いモノには目がなく、いわゆる痩せの大食い。
日向子のことを「お姉さん」と呼ぶ。
何故か高校時代のある時期の記憶が欠落している。
★蝉(ゼン)
本名は釘宮漸(クギミヤ・ゼン)。25歳・男。
アマチュアバンド「heliodor」のキーボード担当。
紅朱とともに、結成当時から残っているメンバー。
おしゃべりでいつもテンションの高い、バンドのムードメーカー的存在。
面倒見が良く、個性的なメンバーたちの間に入る潤滑油となっている。
日向子に対しても気さくに接しているが、何故か挙動に不自然さが漂う。
★有砂(アリサ)
本名は沢城佳人(サワシロ・ヨシヒト)。26歳・男。
アマチュアバンド「heliodor」のドラム担当。
蝉の幼なじみで、現在ルームシェア中。
ドライで厭世的、加えて生活、時間、異性関係等あらゆることにルーズな、バンド内きってのトラブルメイカー。
関西弁で話し、日向子のことを「お嬢」と呼ぶ。
マスコミ嫌いなため、最初は日向子を歓迎しない。
★高山獅貴(タカヤマ・シキ)
通称・伯爵(カウント)。あるいは「吸血鬼」。
カリスマ・ミュージシャン。かつて伝説のバンド「mont sucht(モントザハト)」のギターボーカルだったが、解散後はソロ活動を続けつつ、事務所を構えて音楽プロデュースにも着手している。
日向子の初恋の相手であり、現在進行形で強い憧れを寄せている。
日向子の当面の目標は彼と再会することなのだが……。
☆美々(ミミ)
日向子の年上の親友で、「RAPTUS」編集部では先輩に当たる。
モデル系の美人で、しっかり者のツッコミ役。
「heliodor」のことにかなり詳しいが、何故か自分に回って来た取材の仕事を日向子に譲る。
☆雪乃(ユキノ)
日向子の父・釘宮高槻に才能を見出だされて後継者候補に選ばれた青年。
少年時代より釘宮家で暮らして来たため、日向子にとっては兄のような存在。いつも日向子を車で送り迎えする。
常にクールで感情をあまり表に出さないが、実は……。
☆釘宮高槻(クギミヤ・タカツキ)
日向子の父。世界的に有名なピアニストで、実業家でもある。
妻である水無子(ミナコ)はすでに他界している。
厳格な人物で、ある理由から軽音楽を毛嫌いしてもいる。
日向子が記者になったことを快く思っておらず、しかるべき相手のところへ早く嫁がせたいと考えている。
《構成》
本編は序章から終章まで実質14の章から構成されており、終章は各キャラクターとの恋愛エンディングとして複数用意されている。
外伝は、#1~#5がバンドメンバーの過去を描いた物語、#6は序章と第1章の間の出来事です。
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